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Q

債務整理で個人再生を選択する基準とは

質問 債務整理にも任意整理や自己破産などのいろいろな選択肢があって、その大まかな内容は理解しているつもりです。
しかし、個人再生に関しては他の2つとは違ってあまり耳にしない言葉だと思うし、正直どのような制度なのか分かっていません。
債務整理で個人再生を選択する基準について知りたいので、ご回答をよろしくお願いいたします。個人再生をする場合のメリットやデメリットについても知りたいのと、やはり実行するには弁護士などの専門家の協力が必要なのかも教えて欲しいです。

yajirusi

A

家を残したい場合は個人再生が向いています

まず、ご指摘の通りに債務整理の中でも個人再生の認知度は低いですが、個人再生とは民事再生法に規定された借金を大幅に減らすことのできる法的手続きであり、多額の借金を抱えている方にはとても有用な選択肢と言えます。
個人再生は、任意整理と自己破産の良い部分を取ったような制度であり、それがメリットの1つです。
任意整理は裁判所を通さず行う手続きで、他の方法よりも周囲に借金を抱えていることを悟られないで問題を解決できる点が大きなメリットではありますが、そもそも貸金業者などの債権者が交渉に応じてくれなければ実行することはできません。
特に最近では貸金業者や金融機関などの体力が落ちているため、借金を抱えている債務者側が望む条件に丸々応じてくれるところが減っているようです。
その点個人再生では裁判所の判断で借金の減額などが決定するなどの強制力があり、任意整理を比べると大幅な債務の圧縮が可能で、債務額が大きい場合は借金を10分の1まで減らすことができることはかなり大きなメリットです。
自己破産を選択する場合は、借金を0にできるというメリットがありますが、その分裁判所による判断は慎重に行われます。どんな場合でも借金をなくせるわけではなく、例えばギャンブルなどの浪費などが原因で抱えた借金の場合は、「免責不許可事由」に該当する可能性が高くなり、自己破産はできても借金の整理はできないことになってしまいます。
個人再生に関しては免責不許可事由が存在しないため、どのようにして借金を抱えたかは問われないため、この点もメリットと言えると思います。
個人再生の最大のメリットと言われているのが、自宅を処分せずに残せることです。自己破産を選んでしまうと、必要最低限の財産以外は換金処分することを余儀なくされます。しかし、個人再生の場合は債務者の経済的厚生を目的としている「再建型」の債務整理手続きであることから、条件が合えば財産を残すことができるのです。
「住宅資金特別条項」と呼ばれる制度が個人再生にはあって、これを利用することにより住宅ローンはそのまま支払いながら、他の借金を減額して返済していくことができるようになっています。
このように、個人再生は大幅に借金を減らして自宅などの財産を残せる債務者にとって嬉しい制度ですが、誰でも実行できるわけではありません。個人再生を利用するには厳しい条件をクリアしなければいけなく、これがデメリットの1つと言えます。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者再生」の2つがあり、いずれの場合も安定した収入があることが条件となっています。
小規模個人再生の手続きでは、将来において継続的に収入を得る見込みがあって、住宅ローンを除く債務の総額が5000万円を超えない場合にのみ認められます。
給与所得者再生の手続きでは、小規模個人再生ができる人のうち、給与かそれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、かつその額の変動幅が年間20%以下と見込まれる者でなければ個人再生を実行できない決まりとなっています。
また、個人再生を行うには裁判所に再生計画案を提出しなければいけなくて、再生計画には「最長弁済期間」「最低弁済基準」「清算価値保障原則」などの複雑な定めがあるため、素人が簡単に手続きできるようなものではありません。さらにしっかりとした再生計画案を作成できても、個人再生を実行するためには債権者の書面による決議が得られなければいけません。
個人再生の申請完了まではいくつかのステップを踏む必要もあり、一般的には弁護士などの専門家の協力がなければ実行に移すことはできないようになっています。たとえ弁護士に依頼しても、手続きには時間がかかり、再生計画案の認可決定までで半年程度が必要になっているのです。
自宅などの財産は手放したくないけど借金は減らしたいと考えていて、継続的に返済できるだけの安定した収入のあとことが個人再生を選択する1つの基準となっています。また、安定した収入はあるけど、借金の額が多過ぎて任意整理では対応できないというような方も、個人再生に適していると言えるでしょう。
弁護士などの専門家に借金問題を相談すれば、自分にとってベストな方法を提案してもらうことができます。

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